たーさんブログ

自分の人生を再構築したがっているおっさんのつぶやき

桂ざこばさんが脳梗塞で緊急入院されたそうで、容態が非常に心配されます。

こんにちは。

 

今日の昼頃に何気なくYahoo!ニュースをぼーっと見ていたら、桂ざこば師匠が緊急入院したというのが目に飛び込んできました。

headlines.yahoo.co.jp

ざこば師匠と言えば、何を言ってもゆるされる天然のいじられキャラでもあり、ある意味時事問題のご意見番的な立場でもあります。刺激のないまったりしたテレビ番組がはびこる中で、この人の存在というのは非常に貴重であると常々に思っていました。

 

昨日27日に大阪の稽古場に向かうところで車から降りたときに、誰が見てもおかしいくらいに足元がふらついて、それをみたスタッフさんたちがすぐに救急要請したそうです。そのまま大阪市内の救急病院に搬送されて入院。

診断は「左中大脳動脈閉塞症」「塞栓性脳梗塞とのことで、医師の見立てでは「入院は1か月以上になるであろう」とのことでした。

 

この診断をみて、やはりざこば師匠の安否が非常に気になりました。入院したときに「意識はあった」という関係者の話ですが、「意識がある」=「会話が普通にできる」ということではないからです。

私の知っている範囲で少しこの病気について書いてみたいと思います。

脳梗塞とは?

まず脳梗塞とは、頭の中の血管がつまってしまうことで、その先に栄養となる血液が届かなくなり脳細胞が障害される状態を言います。一度障害された脳細胞は回復しませんので、そこで後遺症が残ってしまうのです。障害されてダメージを受けた箇所により、麻痺が出たり言語障害が起きたりします。

脳出血との違いは?

血液が血管の外に放出される脳出血とは、ある意味正反対の病態と言えるでしょう。漏れた血液が固まって(血腫と言います)、脳を圧迫して症状を出す脳出血のように激しい頭痛を伴うことはあまりなく、いきなり麻痺や言語障害で発症します。

塞栓性脳梗塞とは?

脳梗塞になる原因もいくつかあるのですが、一つは長年の血管へのダメージで動脈硬化が進行し、血管の壁に老廃物がたまったために血液の通りが悪くなってしまい、そこに老廃物の一部がつまってしまうような場合、このときは血栓症血栓脳梗塞と言います。イメージ的には少しずつ悪くなっていく病態です。ですので、脳ドックとかで血管が細い、狭いなんて言われた場合には、脳梗塞予防のために血液サラサラの薬の一つである抗血小板剤という薬を内服することになります。

もう一つの原因は、血管そのものの変化はそれほどでもないのに、それをつめたものが大きかった場合です。不整脈のために心臓で大きな血液の塊が作られてしまい、それが何かの拍子に心臓から太い血管の流れにのってしまい、途中の血管でつまってしまうのです。この場合は、塞栓症(塞栓性脳梗塞と診断されます。比較的太い血管で起こることが多く、今回の原因となっている中大脳動脈も脳を広範囲に栄養している血管の一本です。心房細動に代表される不整脈を持病として持っている場合には、予防のために同じく血液サラサラの薬の一つである抗凝固剤という薬を内服することになります。

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塞栓性脳梗塞ということは、それだけ広い範囲で脳梗塞を起こしている可能性が高いということですが、さらに問題なのは左中大脳動脈の領域であるということです。

中大脳動脈は頭のどこにあるの?

心臓から脳に分岐する血管は前後左右1本ずつあります。そのうち首の前の方を通る血管を総頚動脈と言い、みなさんも自分の顎の下あたりで触れると拍動しているのがわかると思います。その血管はのどぼとけの高さで内頚動脈、外頚動脈の2本に分かれ、うち内頚動脈はそのまま脳の方に向かって上がっていきます。ちょうど目の高さあたりで、脳の真ん中を前後に走る前大脳動脈と脳の外側に向かう中大脳動脈に分岐していきます。

中大脳動脈はMRIの検査でも確認できるほど比較的太い血管なので、それのどの位置でつまったかによりダメージの大きさが決まります。左中大脳動脈で心臓に近い方でつまったとすればかなり広範囲の脳梗塞を左側の大脳に起こした可能性が高いということになります。

左中大脳動脈の閉塞による起こる症状は?

左大脳の障害により起こる症状としては、反対側の右手と右足の麻痺が起きます。また

右利きの人であれば大部分の人が左大脳に言語中枢がありますので、言葉の障害も出てしまう可能性があります。2004年3月に長嶋監督を襲った脳梗塞はまさに同じ左側の大脳を襲った脳塞栓症でした。

*ただ写真をみると、扇子の持ち手が左なのでひょっとしたら左利きなのでしょうか。

左利きであれば、言語中枢を障害される可能性は少し低くなります!

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とにかく噺家にとって、もしこれらの障害が残ったとしたらと思うとつらくなります。

早期治療ができていることを願います

推測するに、車から降りてその前後で発症して救急搬送されたのであれば、「発症して4.5時間以内に治療開始することで閉塞血管を再開通させることができる治療」を行っているかもしれません。再開通後の脳出血のリスクはありますが、うまくいけば後遺症も少なくて済みます。

 

少しでも早く元気になって、また姿を拝見したいものです。

以上救急関連の施設で働いていたことのあるたーさんでした(終)