たーさんブログ

自分の人生を再構築したがっているおっさんのつぶやき

ロンドン世界陸上・男子100m決勝~ありがとう、ウサイン・ボルト~

 

こんにちは。

 

2017年8月6日朝。

その一瞬だけに自分の一生すべてをささげている人がいる。

その一瞬という時間が短ければ短いほど、その価値はあがる。

 

その瞬間に最高のパフォーマンスをみせるために、すべてのベクトルがいい方向に向いていなければいけない。

 

膨大な練習量、ち密に計算された練習メニューの質、その日にベストを持ってくるためのコンディション管理。

肉体だけではなくメンタルをベストな状態にもっていくことも。

さらには生まれ持った恵まれた体つき、育ってきた環境や親の教育など挙げればキリがない。

そして、その瞬間の環境、天候などの外部要因なども影響してくるのだろう。

 

その一瞬最高のパフォーマンスをみせることができるのは、その瞬間にすべてのベクトルが一つの点に向かって集約し爆発するときである。

一つでもベクトルが点からわずかにずれると、それは本人からすればベストパフォーマンスとは言えないんだろう。

 

凡人の私たちからすれば、その瞬間はそのパフォーマンスにくぎ付けになり、それまでどのような練習をしてきたか、そのときの体調がどうだったかなんて残念ながら関係ない。

過程がどうだったかではなく、結果がどうだったか。

それだけである。

 

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2017年8月6日朝(日本時間)。

ロンドン世界陸上2日目、男子100m決勝のスタート地点にはあのウサイン・ボルトがいた。今年31歳、このレースをラストランであると表明していたので、会場は異様なまでの熱気に包まれていた。

たった10秒弱、わずか100mの距離を人類の誰よりも速く駆け抜けることに人生の大半を費やしてきた男の最後のパフォーマンスである。オリンピック、世界陸上を連覇してきた男が最後にどのような走りを見せるのか、ゲットしたメダルは金メダルなのか、タイムは世界記録を超えるのか。

同じスタート地点には、伝説の男よりも速く走ろうと燃えている若手がいる。アメリカのコールマン、ボルトと同じジャマイカのブレイク、南アフリカのシンビネ。

そして、35歳のガトリン。

 

決勝のレースはあっという間だった。ただ本人たちがそうであったように、その9秒間のレース中、自分の心の中にも熱く燃えるものがあった。アドレナリンがみなぎる一瞬を体感した。

 

ボルト3位。

スタートの出遅れが響いた。挽回しようといつもなら後半で加速してのびてくるはずが、その爆発的なノビもなかった。

ラストランというベクトルがわずかに違う方向に向いていたのであろうか。

しかし走り終えた彼の顔は、すでに次の世界に向いているのか、晴れ晴れしい感じに見えた。

 

ボルトを超えた走りは誰だったのか?

アメリカのコールマンは最後の5mまで先頭を走っていた。しかし、わずかな差で敗れた。

彼は9秒94というタイムをだした時点で、ボルトを含めた世界人類ほぼ全員に対して100mレースで勝利していることになるのだが、たった一人の男に負けたのである。

 

その男はボルトよりもさらにスタートが悪かった。中盤までボルトよりも遅かった。

しかし、後半のノビが段違いに違った。

ボルトに勝つには、そして100mで勝つにはここしかない。そんな気持ちがあったのだろうか。

いままで優勝候補と言われながら、この12年間ボルトがいたために、人類最速という称号からも金メダルからも見放されていた男が、最後の最後にものすごい爆発力をみせてゴールのテープを切ったのだ。

アメリカのガトリン。ボルトよりも年上の35歳。

(正直、年齢という点で最初から優勝争いには絡んでこないだろうと思っていた)

 

彼はボルトを超えるために、そして人類最速の男という称号を得るために、金メダルを手にするために、この歳までがんばってきたのだろうか。

自分にはそれはわからない。

ただレース直後に見せた彼の涙がそれを物語っていた。

 

2017年8月6日朝。

私はその感動をここに記した。

人生、自分を信じていこう、そして決してあきらめてはいけないんだ、、、

 

たーさんでした(終)