こんにちは。
今月初めに大学院の入学試験を受けてきました。
社会人になって20年以上が経ち、なぜか急に勉強したくなって一念発起。
出願日ぎりぎりに願書を提出して、27年ぶりに受験を経験してきました。
海外では、「社会人になってからも勉強は続くもの」と言います。
就職してからも、仕事とは全く関係のない分野・領域の勉強を開始し、そして勉学に励み続ける傾向があります。それは、必ずしも自分の仕事と関連してそのスキルアップのために、あるいは将来役に立つからというわけではないのです。また英語や料理といったおけいこ事とは異なって、経済学や文学史だったり、はたまた芸術における表現方法だったり、より本質的な内容になってきます。
日本ではというと、勉強あるいは受験というのは大半の人が大学卒業とともに終わってしまう傾向にあるのではないでしょうか。もちろん、就職してから仕事に必要なスキルを磨くために勉強することはありますが、仕事とは全く関連のないことについて学ぶことはあまりないように思います。
2年前にイタリアの友人が日本に遊びに来て、一緒に食事をする機会がありました。彼自身はナポリという街で骨とう品屋を営んでいるのですが、最近大学で勉強しているようなことを話してくれました。年齢は私と1つ2つ違う程度で、すでに3人の子持ちなのです。
お店と子育てが一段落ついたところで、以前から勉強したかった物理学を大学に入りなおして専攻しているのだそうです。ちなみに現役大学時代の専攻はギリシア古代史だったそうですが。
「なぜいまさら勉強を始めたの?」
という私の問いに、逆に驚いたように彼はこう答えました。
「じゃあ、なぜ勉強しないんだい?せっかく自分の世界が広がるチャンスみすみす逃してどうするんだい?」
「仕事だけがすべてという狭い世界で生きるより、もっといろんなことを勉強すれば、それだけ自分の進む道に選択肢ができるし、新たな世界が開けてくるのに」
正直彼の学問を追求することへの貪欲さにはびっくりしました。また会話自体に非常に深みがあり、どんな内容にしてもじっくり掘り下げて話ができることに感銘を受けた覚えがあります。浅い知識でしか話ができない自分に恥ずかしさを感じました。
今回大学院を受験したことに、この彼の話がきっかけになったのはたしかです。実を言うと、彼の周りにもそのようにすでに定職につきながら、勉強を続けている人が結構いるとのことでした。日本では高齢になって大学に入りなおすとニュースになりますが、欧米では比較的そういう人たちはいるようです。
最近の日本でも、社会人が仕事をしながら勉強しやすいように、退社してから通える大学や大学院が増えてきています。考え方が欧米に近づいてきたのでしょうか。
「会社に自分の人生を捧げる」
という考え方はやや時代遅れになりつつあり、
「自分の人生は自分で決める」
というように考える風潮になっております。人生を豊かにするには、勉強していろんな角度から物事を見れるようになるということが大事なのです。
以上合格発表を待っているたーさんでした(終)