こんにちは。
and こんばんは。
今日は医療の現場における「時短仕事」について考えてみました。
というか、少し前までうちの病院は非常に働きにくい職場でした。
(それでも、自分がその前にいた超ブラックな職場よりまだいいですが)
平日、毎日朝から晩まで仕事をしていると、あっという間に1日が終わっていました。
通勤時間を入れると、ほぼ12時間以上は仕事に取り掛かりっきりになっていました。
仕事でとられる時間は仕方がないという考えで、それまでは家に帰ってからの時間をいかに工夫するか、それだけを考えていたのです。
家族の時間、食事や風呂、トイレなどの時間で、わずかですが残された時間の大部分が消費され、結局自分のための自由な時間はごくわずか。
そのわずかな時間を疲れ果てた自分は、ボーっとして浪費してしまう、そんな毎日でした。
これが残業なんぞしようもんなら、自分の時間は本当にスズメの涙状態です。
自分の自由時間を増やすためにはどうすればいいのか?
以前、自分の時間を含めて、仕事や食事、風呂などのそれぞれの時間の割り当てとしてこれだけあれば十分という時間を書き出してみて、全部足して24時間以内に収まるかどうかということを記事にしてみました。
いやいや、24時間なんて少ないすくない!
全部その時間内で収めようというのは無理に決まっています。
そうなったら、何かを減らさないといけません。
結局、記事を読んでいただければわかりますが、仕事に従事している時間を減らすことが一番いいという結論になりました。
当たり前の結果です。
仕事時間の削り方
ただ、問題はどのように仕事時間を削っていくかです。
通常、仕事時間は朝8時から夕方5時です。ただこれは病院が決めた表向きの時間で、実際は自分の科では朝7時半から始まって、終わるのはたいてい夕方6時半です。通勤時間(往復3時間)を合わせると、優に12時間以上。
日によっては、もっと長くなることがあります。
でも、少し前まではそれ以上に仕事時間が長かったことがありました。正直、当直じゃないのに20時間近く病院内にいるなんて異常な状態でした。それでも、とにかく疲れ果てていても先に帰ると、何か上の人間に言われるだろうということでみんな残っていたのです。そして、何かしら仕事をしていました。明日でもいいようなことで、いわゆる残業です。
仕事時間を削っていく工夫
このままではだれもが疲弊してしまうし、この状況をみた学生とかはうちの科を敬遠するだろうと考えたことから、実はその後いろいろと工夫していった経過があります。
(まだまだ工夫は足りませんが)
今回は、少し工夫したところを書いてみようと思います。
まずは全体像を見渡す
さて、仕事時間を短くしようと模索するのであれば、
まずどの仕事に1日のどれだけ時間を割り当てているのか、把握しなければいけません。
下に挙げるのは、定められているうちの科の時間割です。
(病院の決まりではないので、別にこの通りに動きなさいというわけではありません。)
(ただ、この通りに動いてしまっていました)
7時半 カンファレンス(1時間半)
9時 外来(午前の部)(3時間)
12時 昼休み(1時間)
13時 検査(2時間)
15時 外来(午後の部)(2時間半)
17時半 カンファレンス・会議(1時間)
手術のある日は、9時から17時くらいまでが手術となります。その時間は手術室に閉じこもりっきりです。
カンファレンスは自分たちの科で勝手にやっていることなので、そんなことせずにきちんとやっていれば、8時から17時までには全部終わるはずでした。
昼休みも本当はもう少し長いのですが、どうしても検査が入ってしまうので、食事の時間を短くして胃袋に詰め込んでいました。
(痩せられない原因です)
これらの時間の使い方も、病院の決まりではありません。
(うちの科が勝手にやっていることという体(てい)でそうなっています)
それでも、18時半には全体の業務が普通終わるはずなんですが、そのあとから個人個人の仕事。
患者の診断書を書いたり、レセプトの症状詳記を記載したりとなにかと忙しくしちゃっていました。
結局仕事が終わるのが、だいたい21時すぎ。終わると言っても、今日中に帰らないとという気持ちで、仕事を切り上げるといった方が正しいかもしれません。
家が近い人はもう少し居残っていたみたいです。
というわけで、かつてはこんな感じでした。
考えだした工夫
このままじゃまずいという危機感を抱いた私たちは、いったいどうしたでしょうか?
「時短」という言葉があります。
いかに要領よく、短い時間でできるか。
そして、そのためには一連の作業の過程で省ける無駄をどんどん切り捨てていく、また余計な作業工程をなくしていき、それでいて仕事のクオリティを落とさないことをめざすというものでした。
先日「冷凍食品日本一」みたいな番組をやっていました。「大阪王将の餃子」が第二位だったのです。みなさんも食べたことがありますか?
冷凍なんですが、味は文句なくお店の味で、さらには調理に油も水もなべの蓋も一切使わずに羽根つき餃子ができるという主婦の味方みたいなものでした。
要するに、油と水を餃子につけてすでに凍らせてあり、餃子をフライパンの上にのせて熱すると、油と水と片栗粉が溶け出してきて羽を作っていくということです。
このように、油や水溶き片栗粉を注いだり、鍋に蓋をして調理したりする手間を省いて、おいしいお店の味を再現するというとんでもないすぐれもんなんです。これぞ、時短ですよね。
500回くらい試作品を作って編み出した商品らしいです。
今日スーパーに買い出しに行ったら売り切れていたらしいです(笑)
話をもとに戻しますが、このように仕事において時短を目指すことが、当たり前ですが仕事時間を短くすることにつながるのです。
さて、私の職場にはどのような工夫を行ったでしょうか?
★まず、科で徹底したのが、自分しかできないことを率先してやる。その一方で、自分以外の人間ができることは他人に任せてしまう。
ということです。研修医は自分のためになることならば、かなりのことを引き受けてくれます。彼らにできることを、我々がやってしまっては彼らの教育にもなりません。もちろん、何でも丸投げでもいけないのですが、逆に自分たちがそれを自身でやろうとすることで、さらに大事な仕事がおざなりになってしまう可能性があります。
たとえば、電話にいちいち出ていたら、仕事が進みません。外来中などは、PHSにかかってきたコールに、そばで見学している研修医に代わりにでてもらい、待てる要件についてはメモに控えてもらうというようにしました。
★診療において、ある程度型どおりのやり方で済んでしまうことについては、マニュアルを作成し、その通りに進めば問題ないとしました。
クリニカルパスなどと言いますが、この通りに診療を進めていき、チェック項目を確認していけば、確認項目の漏れがなくできますし、急変時の早期発見につながります。
つまり大事なことは、物事を可視化することで、情報を共有できるということにあります。多職種の連携(チーム医療)の上で非常に大切です。
★二度手間を防ぐという意味で、患者に説明するときの冊子の作成も非常に有用でした。検査結果について説明しても口頭で説明しただけでは、患者は少ししたら忘れてしまうか、いいことしか覚えていないということが結構あります。こちらがきちんと説明したつもりであっても、患者の方は聞いていない、あるいは忘れてしまったなんてことはよくあることです。
そんなときに、こっちが怒ってしまってはいけません。
再度説明して、きちんと病状について理解してもらいます。しかし、こういう手間がそこそこあったので、自分なりに簡便な病気の説明冊子を作りました。実はこれがなかなか好評で、患者は一度冊子を用いて説明すると、次の外来のときもこれを持ってきて、自宅で読んでわからなかったことを質問してくるようになったのです。患者の病気への理解も深まり、こちらも病気の説明の大部分を繰り返さなくて済むようになりました。ある意味、これも可視化をめざした結果でしょう。
★診断書、介護保険の意見書などの書類は、最近では医療事務さんが書いてくれるようになりました。これは大きな進歩です。実際、今までの労働時間内で一番大変だったのは、この書類書きの仕事でした。実際、これで数時間費やしても一切我々の給料の足しにもなりません。この仕事で残業しても、正規の業務ではないので(これもおかしな話ですが)、手当がつかないのです。
★うちの科で行っていた夕方のカンファレンスは、当直医に申し送るために行われていました。要は今日一日のおさらいです。主治医であれば、その内容はすでに頭に入っていますし、個別に申し送ればいいのではないかということで、この無駄な時間はなくなりました。なくなった後も、別にそれで不具合は生じていません。
以上です。
正直、まだまだ時短を突き詰めることができそうな気がします。
この状況になって、朝出勤する時間は変わりませんが、手術とかで時間が遅くならない限り、今は早ければ18時半すぎに帰れるようになりました。
しかし、まだまだ時短仕事術を増やして導入し、もっと早く帰れるようにしたいもんです。
17時に帰っている人もいます。
昨日、吉高由里子主演の「わたし、定時で帰ります」をたまたま見入ってしまい、今日こんな記事になってしまいました。
自分のような中堅どころが早く帰らないと、若手はいつまで経っても無駄に職場に残っているようなことが以前はありました。しかし、最近は逆で、私よりも早く帰る若手が結構いるのに驚きます。時代は変わったのです。
いずれにしても、自分の時間をいかに生み出すかということをじっくり考えていく必要があります。
仕事の時間をなるべく削り、残った時間でいかに自分を成長させていくか、そこに目標を絞るべきですよね。
以上たーさんでした(終わり)
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